このレポートはVELA DE ESPERANZAの被災から修復・進水の記録です。
海底に水没したVELA DE ESPERANZA
2004年8月30日 愛媛県松山市の松山観光港沖にある輿呉島(ごうごしま:フェリー10分)に係留されていたWOODY82-IIのVELA DE ESPERANZAが台風16号の暴風の影響により被災し、左舷側4分の3に損傷を受けるという大きな被災にあいました。
このレポートはVELA DE ESPERANZAの被災から修復・進水の記録です。
いよいよ2隻の船に挟まれて曳航です。
ベラはほとんど沈んだ状態で海況が心配です。
輿呉島(ごうごしま)と松山までは5ノットで1時間掛かりました。
途中、流れも速く他船の引き波で大きく揺れ動いたり、ベラは潜水艦状態でしたが悲鳴は一つも上げませんでした。
曳航されていた船長さん達もその強度に何度も驚かれていました。
潮が引きハーバーでは引き上げは不可能となり、本船の荷役場で上架してもらえることになりました。
荷役場でお借りしたスリングは強度的には十分だったのですが、長さが短くハルがかなり絞り込まれました。
船体重量3.2tのところ最大5tの加重で引き上げましたが、難なく引き上げることが出来ました。
陸上までは7mもの落差があり大型クレーンのおかげで大変助かりました。
突然の依頼にも気持ちよく上架作業をしていただきありがとうございました。
船台も前後別々の台でしたが、ぎりぎりで固定することが出来ました。
地元松山、ならびに、わざわざ広島から来ていただいた方もおられ、今回無事に引き上げられたのも多くの方のご協力のたまものだと大変感謝しております。
左舷側中央部
写真ではわかりにくいですが、センター喫水付近には大きな穴が開いています。
当初、前の船台部分は損傷部分に当たり大きくハルが変形してしまいました。
前部の架台はかなり前側で支えました。
コクピットのチークは黒く変色しています。
上架直後の船内写真
砂がかなりたまっています。
船内のチーク突き板もかなり変色しています。
左舷側の損傷のあるギャレー部分は見た目にはほとんどわかりませんが、実際にはかなり損傷を受け、補修の時点ではすべて撤去されました。
ボルボペンタのエンジンは引き上げ直後にすぐに外し、そのまま足立が大阪まで運びました。
分解清掃せずそのまま水洗いだけで使用出来る状態でした。
現在、エンジンは工場にあり定期的に駆動させています。
キール前部に頭大の大きな削れがあり、堤防の角で削れたものと思われます。
完全にハルの一部も欠損し亀裂は無数に走っています。
穴までは開いていない部分でもハルは圧迫されつぶれた状態になっている部分も多くありました。
センターのデッキは一部損傷を受けていました。
翌日、船内にあった床板やバース板などを干しています。
セールも完全に水洗いし干しています。
偶然にもこのとき本船の入港が無く広い場所を使わせていただきました。
ライフジャケットも水洗いして干しています。
ライフジャケットは人は助かっても、船は助かりません。念のため。
続く |